劇場初公開作品ながら研ぎ澄まされまくってる。
どこか繋がっているようなもつれているような、空虚な夫婦関係。
自宅で仕事をしていて、物静かで少しそっけない夫(きっと彼なりには愛情表現をしているつもり、、?)のそばで、妻はいつしか周囲にあるものに何でも紐を巻きつけ縛るようになってしまう。
この強迫性緊縛症によって、寓意的に二人の関係を描いている。
夫が妻の言うように縛り続けても、「ねえもっと縛ってよ」という妻。本当に大事なものこそ分からないもの…
二人が何者なのか、どういう経緯で出会ったのかとか全く分からないけど、これだけ潔く切り詰めた描写で美しい表現ができるのが羨ましい…
ジャケット写真の、広がる街と交差する電線を背景にキスする2人、そして子供の集団がその2人の両側に別れて進んでいくこの絵が本編で出てきた時、ここかぁ!と思わず感動した。色んな偶然の美しさを重ね合わせたような絵で、息を呑む美しさってこういうことなのかなと思った。