チェルノブイリ原発事故とその10年後。人生が変わってしまったをアーニャとヴァレリの物語。事故から25年を経て立入制限区域内で撮影された初めての映画。
1986年4月26日。チェルノブイリから3キロの隣町プリピャチでりんごの木を植えた幼い少年ヴァレリ。翌日結婚式を挙げたアーニャ。
緑豊かな町に流れる浅葱色の川。ゆっくりとを進む小さなボート。柔らかな日差しに水面を滑る手の心地よさが伝わってくるような美しい日。一転白く景色が霞むほどの土砂降り。もろともせずリンゴの苗木の横で嬉しそうな少年と、結婚の幸せに酔いしれる2人。が、その雨は原発事故によって凶器と化していた。水面に浮かぶ無数の魚。黒く濁る雨に汚れるケーキ。鳴り続ける放射能測定器。インディゴの空に吹き出す煙。人間原子炉。止まった時の中を彷徨い故郷と愛する人を思う人々。目に見えないから感じない恐怖。身をもって感じる恐怖。生々しい廃墟。うずくまって噛みしめる思い出。未来に向けて読み上げた想い。復唱し続ける故郷の歴史。出会っても気づくことはない。様々な青が美しいのにとても悲しいのはブルーゆえか。この押しつぶされそうな美しさと哀しさは錆浅葱。
主役のウクライナ出身のオルガ・キュリレンコと監督の本気度ひしひしと感じる。
Million Alyh Roz
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