へちまびと

ゼロ・ダーク・サーティのへちまびとのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
3.2
ウサマ・ビン・ラディンを探し出して殺すまでの軌跡を描いた映画。

一方的ではあるが、アメリカにとってイスラムの教義とか殉教者とかどうでもよく、とにかくあの日の怨み、はらさでおくべきか、という直球の復讐心が原動力となってここまで追い詰めたのだろう。

だったらアメリカだって……という話もわからんではないが、そもそもイスラム世界の言葉は21世紀を生きる我々にとって一部意味がわからない。
争いはないに越したことはないが、絶対的他者であるイスラム圏のことをあんまりお友達と思い過ぎて擁護し過ぎるのも違うよね〜結局利害関係によるよね〜などと思いながら見た。

アメリカの報告書的映画なのに、ちゃんとCIAの拷問シーンを批判的に描いたり、些細な情報を得るために国費で高級車1台を情報提供者にあげるシーンを入れるなど、バランス感覚がいい。

911当時、おれは高校生で、2機目がビルに突っ込むところを生中継で見ていた。
その首謀者をようやっと始末できたのが2011年。
この映画は当然プロパガンダの側面があり、大きめの脚色もあることが予想されるが、ともかくこうして後に残るかたちで成果報告を見られるようになったのは感慨深いものがある。