菩薩

ローラの菩薩のレビュー・感想・評価

ローラ(1981年製作の映画)
3.3
言うなれば『マリア・ブラウンの結婚』の4年後の話、精神的な続編とでも言えようか。早稲田松竹の壁に掲示されたいたパンフレット(?)記載の語句を借りるのであれば、破滅の後の復活が『マリア〜』、そしてその復活の後の破滅が本作に当たるらしい。重ねて言うのであればNATO加盟までが『マリア〜』であれば、加盟後がこの作品、なんて言い方も出来ようか。戦後復興の象徴がマリア・ブラウンの生き様に反映されているのであれば、その後「経済の奇跡」と呼ばれる事になる自由主義採用後の急速な経済発展に伴う精神的な退廃がローラに、フォン・ボームに反映されている。時代の流れと共に歪曲化されて行く道徳心、変化して行く「幸せ」の形、負け惜しみの様に呟く「幸せだ。」との捨て台詞、その目はもはや輝きを失っている。娼婦は遂に「人妻」の称号を手にし、更に己の市場価値を高めて行く。それとて金で買える愛ならば、容易く手に入れる事が出来てしまう。経済発展と性風俗との癒着は、同じく奇跡的な戦後復興を成し遂げだ日本にも同じ事が言えるし、その後の道徳観念の退廃に関しては、もはや言及する迄も無いであろう。54年のW杯、決勝でハンガリーを相手に見事勝利し初優勝を成し遂げて見せた西ドイツは、58年の本大会では準決勝でスウェーデンに負け、また3位決定戦でもフランスに負け4位に沈む。残念ながらこの作品にも少しばかり「爆発」が足りない。
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