情事の間息子がベビーベッドを出て歩き、窓から転落死してしまう。葬列で妻は倒れてしまい入院する。治療方針に疑義を感じたセラピストの夫は家族は治療しないというしきたりを無視し、自らセラピーを行うことにし退院させる。
▶︎トリアー監督自身も鬱病を発症し製作が延期された後発表された。ホラーとまで行かないが、かなりショッキングなシーンがあり、ぼかしが大きめに入るので耐えられた。
プロローグ、エピローグを含む4章からなり、特にプロローグではスローモーションを利用した粒子の映し方が詩的で美しかった。Christの "t" を "♀" とし、夫にも妻にも役名が無かったのも意味深で興味深い。
トリアー監督が鬱を患い、「機会の土地アメリカ三部作」の3作目が無期限延期となる中作ったのが本作であることの意味を思う時、この妻を治療しようとした夫と、恐怖が森=エデンにあるとした妻を描いた行末に待ったエピローグの群集が、正にトリアー監督を襲う現実なのではと深読みさせられた。
シャルロット・ゲンズブールとウィレム・デフォーの二人芝居で体当たりの熱演が観られる。