三樹夫

風立ちぬの三樹夫のレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.5
この映画は宮崎駿監督の俺はこういう人間(堀越二郎=宮崎駿)なんだっていう告白映画だ。飛行機をアニメに変えてしまえば堀越二郎はまんま宮崎駿だし、言ってしまえば堀越二郎をだしにして自分語りをしたみたいな映画で、堀越二郎の話として観てもしょうがないというか、宮崎駿は堀越二郎の話の映画を作ったわけじゃないというのがあると思う。クリエーター映画と言ってもいいかもしれないが、つまり、俺美しいもの好き、美しいもの作りたいという吐露。

オタク監督の特徴として恋愛パートが下手というのがあると思っているが、この映画の恋愛パートは、白馬に乗った王子様とか恋におちましたとか言ってしまっている。今時、女キャラに白馬に乗った王子とか恋におちましたなんてセリフはかせるってそりゃねぇだろと、観ている時笑いそうになったが、こういうのも含めて宮崎駿の告白映画というか、この映画が表しているのは宮崎駿なわけで、まあ監督自身恋愛パートは妄想と言っているし。作中で堀越二郎は仕事してる姿がかっこいいとか言われていたが、そういうこと言われたいのかなと思ってしまった。恋愛パートに関しては、宮崎駿の願望がパンパンに詰まっており、女性という他者が不在で、男に都合のいいキャラクターを使ってのこういう関係がいいなという妄想吐露になっている。
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