Jude

風立ちぬのJudeのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.9
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金曜ロードショーを見てる途中に気がついた
公開当時、後から主人公の声についての批判を見たりして、たしかに棒読み感はあったが鑑賞中特別何も気に障らなかったなとぼんやりと思ってた

今見てて理由がわかった
やはり、とにかく人の所作と風景、生活の描写に目が行って、追いかけて
口数の少ない二郎の言葉は淡々とした意味を持つ音くらいにしか私には聴こえてなかった
声優に頼らないジブリ作品の映像の素晴らしさを再発見(庵野氏や声優さんの批判じゃないです。素晴らしい声はもちろん素晴らしいです)

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生きねばならかった時代に
見る側の気持ちのピントが合うかでも評価が分かれるのかなと思いました


劇中の説明やセリフが少なすぎるという感想も見ました
そうではなくて、セリフがなくても
一つ一つの当時の生活のシーンから
戦争で奪われたもの、生きぬかなければなかった背景、
あるいは現代には失われた古きよき時代の風景に
それを見るだけで胸がいっぱいに
それぞれの想いを落とし込める方もいると思います
(昔の日本の日常生活が何気なくつぶさに描かれているのが宮崎映画の大きな魅力だし)



そこに、決して兵器でなく純粋な創作の思いを持ったあまり悲愴感の見えない主人公とのコントラストが残酷にも思えるし
どんな時代であれ失ってならないものもあるとさえも感じます

書くとちょっと飛躍しすぎた解釈に見えてきたけど
ゼロ戦にまつわる物語でなく、表立って描かれなくともこの時代の悲しさと、つい何十年か前の日本人が生き抜いていたことを忘れてはならないとこの作品から感じました

生きろ、から
生きねばならない
重くて強い言葉です
Jude

Jude