宮崎駿最後の長編……になるはずだった一作。
戦時下を生きたひとりの男を描くドキュメンタリータッチの作品。重厚な話、人の核を突くような繊細な描写はさすがといったところ。
話はシンプルでありながら難解でもある。が、要するに自身の集大成を投影し、アニメーション作家としての宮崎駿の軌跡をなぞっているのだと受け取った。たしかに断筆の覚悟をここに見たような気がした。
……のだが、最近になってまたとある切掛けで火がついたらしく、長編制作の草案を練っているそうな。(ウソだったのではなく気が変わったということ)
やはり爪の先までクリエイターという事なのだろう。とにかくまた新作が見られるのならば嬉しい限りである。描きたいものを描きたいように描く彼の作品がまた見れる日を心待ちにしつつ。
