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風立ちぬのmillaのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.7
嗚呼、映画が終わっても席を立てませんでした。周囲の方々も同じく、誰一人席から離れませんでした。
しかし、後ろに座っていた少年達が
「で、結局何が言いたいのかよく分からなかった」と言い放った途端に、映画館の外へと、2013年の現実へと、皆さん帰り始めました。
結局何が言いたいのかよく分からなかった。なぜかその言葉が未だに、執拗に頭から離れません。

しかし帰ってから私より年上の知り合いの方に感想を聴いたところ、これでもかと大絶賛され、嗚呼、良かったと胸を撫で下ろしました。

主人公の二郎に感情移入をし、飛行機の美しさを追い求め没頭したあの時間が浮かばれたような、そんな不思議な感情を抱きました。
ただの映画の感想ひとつ、されど映画はひとつの人生を垣間見る特殊な世界。

10年前の自分はこう言ったでしょう。
「感動はしたけどまあ、結局何が言いたいのかはよく分からなかった」

観る方の歳や性別で評価が1.0から5.0まで幅広くなるでしょう。しかしそれがこの映画の最大の魅力。
まだ観ていない方は自分がどのような評価をするのか楽しみにしてください。

まあ、所謂「機械オタク」と自負する方には非常に楽しめますでしょうね!

個人的には、二郎と菜穂子のような恋愛をして儚い想いをした後なので、二人の所謂純愛シーンは目を塞ぎたくなりました。
心が痛いです。しかし、それだけ素晴らしい純愛シーンだったということです…

それよりも、二郎の夢に対する貪欲な姿勢にのめり込みましたね。機械作りは興味がないはずでしたが、何故か強く感銘を受けました。

ジブリで一番好きだと言えそうな作品です。

ちなみに喫煙シーンには肯定いたします。あれこそが時代背景を仄めかす部分であり味であります。
非喫煙者への影響を考えるならR指定にすればいいのでは。
あれは必要なシーンです。
勿論タバコは害です。

ユーミンの歌は観る前と後では印象が違い過ぎます。あの歌は反則です。ハンカチ持ってて良かった…
milla

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