皿と箸

風立ちぬの皿と箸のレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
5.0
徹底的に作り物だなぁ、と。これはアーティストによるアーティストのアーティストのための映画だと思う。監督の個人史が反映された、自慰的な作品とも言えるとおもう。もちろん画は本当に素晴らしいクオリティで影や柔らかな線が親近感と懐かしさを与えてると思うんだけど今回は音も特徴的で角のない丸みのある暖かい音が印象的でした。シベリアのシーンでそれは偽善だよ。と言われて一度違う!と否定した後にそうかもしれない。と言う部分がかなり象徴的に主人公の性格を表していると思いました。主役の声もやっぱり技術的な事とか度外視してアーティストである庵野さんしかないなぁと思うし。みんな結局好き勝手生きてて、自分にできる事を最大限やろうとしたら社会のモラルとのギャップも生まれてくる。だからこの映画には可哀想な人なんて出てこない。みんな全うしてるんだよね。映画にストーリーを求めている人は多分何も感じられないんじゃないかと。映画っていう一つの創作物としての完成度に同じ職人として生きている自分は涙なしには見れなかったです。好き嫌い、良い悪いではなく、この作品って間違いなく映画史にアーカイブされるべき作品で。ジブリの中ではマスターピース的な作品だろうと。そういう意味で本当にタイムリーに観ておいて良かったと思ってます。
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