~恐怖の中に潜む笑い、ホラーへの皮肉たっぷりの快作~
観るほどに奇妙な展開に引き込まれ、笑いと恐怖が絶妙に交差する映画だった。
「キャビン」(原題:The Cabin in the Woods)は、ドリュー・ゴダード監督とジョス・ウィードンがタッグを組んだ異色のホラー映画。若者5人が山奥のキャビンを訪れ、次々と恐怖の目に遭うという一見ありふれた設定。しかし、この映画の真価は、ホラー映画の「お約束」を逆手に取った斬新な展開にある。
序盤は典型的なスラッシャー映画のように見えるが、物語が進むにつれて観客の予想を大きく裏切る仕掛けが待っている。おすすめのシーンは、地下室で若者たちが古い日記を発見する場面。その選択が、後々まで驚きの展開につながる。さらに、終盤で明かされる「全ての出来事の背景」は、ホラーファンにとって興奮と衝撃を同時に与えるだろう。
出演者にはクリス・ヘムズワース(「マイティ・ソー」シリーズ)が若き日の姿で登場。彼のキャラクターが体験する恐怖とおかしさのバランスも見どころだ。
ストーリーの仕掛けを楽しめるかどうかで評価が分かれる作品だが、ホラー映画に新しい視点を持ち込み、観客に考えさせる要素が光る。ジャンルの枠を超えた面白さを求める人におすすめの一作だ。