ハレルヤ

汚れなき祈りのハレルヤのレビュー・感想・評価

汚れなき祈り(2012年製作の映画)
3.6
お互い孤児院で育ち、ルーマニアで再会したヴォイキツアとアリーナ。修道院に住むヴォイキツアを頼ったアリーナは2人で過ごしていく事を望むも、ヴォイキツアは信仰心が強く修道院から離れようとしない。そこからアリーナは徐々に精神を病んでいき、やがて大きな事態へと突き進んでしまうサスペンスドラマ。

2005年のルーマニアで実際に発生した事件を基にした作品。監督は「4ヶ月、3週と2日」「エリザのために」などこの人じゃないと撮れない独特の作風を持つクリスティアン・ムンジウ。本作でも彼の持ち味は存分に発揮されていました。

音楽のない無機質な雰囲気。寒々しい風景。長回しで捉えられる登場人物間のやり取り。娯楽性を徹底的に排除していて、まるでドキュメンタリーを見ているような映像。とにかくリアルな質感で最初から最後まで進みます。

親友のヴォイキツアと一緒に過ごしたいアリーナだが彼女は修道院から離れない。押し問答が何度かあり、修道院側とアリーナは完全に対立。アリーナは精神的に厳しい状態に陥り、神父や修道女たちは悪魔祓いと称して彼女を心身共に痛めつける。そして最悪の事態に突き進む。

こんなストーリーと作風で2時間半。なかなかキツかったです。前半は言うほどの波はありませんが、後半の嫌な展開が一気に進行していく様子は見てて本当にしんどい。

ラストも実際ならこうなんだろうなと思うほどリアルな感じ。良い意味で映画らしくない形でした。後味も悪いし万人には勧められませんが、暗いけど見応えはある映画が好きならば一見の価値はあります。
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