Omizu

汚れなき祈りのOmizuのレビュー・感想・評価

汚れなき祈り(2012年製作の映画)
3.4
【第65回カンヌ映画祭 脚本賞、女優賞】
『4ヶ月、3週と2日』クリスティアン・ムンジウ監督作品。2005年に起きた実際の悪魔憑き事件の映画化。カンヌ映画祭コンペに出品され、脚本賞と女優賞をW受賞した。

ムンジウは刺さるときとそうでもないときがある印象。本作はそこまで…という感じかな。じっくり描くのはいいのだがいかんせん長すぎた。

厳格なキリスト教修道院という舞台で、孤児院で育った二人の少女の愛憎を描く物語、というのは単純化しすぎだろうか。二人の少女の関係が意味深。おそらくは同性愛関係にあったのだろうが、片方がキリスト教厳格主義に傾倒してしまったために関係が崩壊する。

悪魔憑きというのはあくまで副次的要素に感じた。厳格すぎる宗教が人間関係をいかに歪めてしまうか。凡百なテーマではあるがそれをじっくりと描いていく手腕は流石ムンジウ。

ただやはり長過ぎ。ここまで時間をかけるほどの話だったかと言われると微妙な気がする。もちろんムンジウのストーリーテリングに飽きることはないが。

見応えはあるかな。面白くない訳ではないがそこまでオススメはできないかも。映画の出来としては申し分ないが、あまりに淡々とした画面でメリハリがなく感じてしまった。
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