孤児院時代を共に過ごしたヴォイキツァとアリーナ。昔から寂しさを埋め合って来た2人は、無二の親友であった。
物語はルーマニアで修道女となったヴォイキツァのところに、アリーナが出稼ぎ先のドイツから帰ってくるシーンから始まる。
アリーナのヴォイキツァへの想いはもはや愛の域であり、この再会を機に一緒にドイツに行って暮らそうと考えていたのだが…
ヴォイキツァのアリーナへの態度は、以前と少し違っていた。まるで、誰かに心を奪われたかのように。
ある修道院で起こった事件を元に作られた問題作。その焦点を極端に絞り、閉鎖的な空間で何が起こったのかを滔々と伝えてくる。
この軸となる2人のキャスティングが絶妙で、派手な演出もないのに直ぐに物語に引き込まれた。素晴らしい。
愛は苛立ちと渇きにギラギラと鋭利になって行き、アリーナはいかなる時もその愛を信じて止まない。対する修道院側は神へのお勤めを妨げ困難にするアリーナに、恐怖と嫌悪感を露わにする。
支えにしてきたものを天秤にかけねばならない、ヴォイキツァの苦悩と葛藤。
沸々と続く狂気の収束地点は。
ラストもメッセージ性があり、人によって解釈が変わりそうなムンジウ監督の演出が憎い。あのゆっくりゆっくりフロントに寄っていく感じ、確信犯。良作。