くりふ

パラノーマン ブライス・ホローの謎のくりふのレビュー・感想・評価

2.5
【パラノーマルよりノーマルが見えにくい】

ライカの前作『コラライン』が大好きでした。だから比較視点は入りますが、見せ方は進化したのに語り方は退化した、という印象。

物語に自分でも驚くほど乗れず、脚本にあちこち引っ掛かりを感じた。退屈のせいで見逃したか?と悶々するのも嫌で再見しようか思ったら関東、上映終了(笑)。とりあえず初見で感じたままを書きます。

まず、呪いの原因となった事件が情報・描写不足で、疑問でした。あの時代とはいえ、一人の少女を公にああするって余程のことでは?「怖かった」だけが理由じゃないでしょう。子供じゃないんだし。

モデルとなったのは、17世紀に起きたある裁判だと思いますが、あちらは集団心理という違いがあること、また、事件の根底にあるキリスト教の無理と狂気から目を背けているように思いました。そして、それで現代のいじめ問題と並べてしまうのは、短絡的かと。

一方、それに対する少女の反応も引っかかりました。自分自身で、脅威となる自覚があったのでは?周囲もそれを知っての判断なら、同情の余地も出てきてしまうよな、と思って。

…考えすぎかもですが。この、事件の根っこで感じたモヤモヤが一番大きかったですね。

その他、展開面でまず、ノーマンに使命を継ごうとするオジサン、そんなに大切なら、何故リスクヘッジしとかない?と素朴に思った。で、緊急事態なら情報正確に伝えろよって。大問題なんじゃないの?ここ、物語を無理に遠回りさせる仕掛けが見え透いて、シラケました。

同じく、呪いをかけられた皆さんですが、時限設定あったんですかね?上映時間が終わりに近づいたら、憑物が落ちたように喋りだしたから。

あとそもそもですが、何百年もの間、ノーマンと同じ素朴なことを、誰もやろうとしなかったのか?というのが素朴な疑問です(笑)。

こんな感じで、他に幾つも引っかかりが続き、冷めてしまいました。何だか画面のあちこちに、欺瞞霊や遅延霊が見えてしまった気分です。

で、とりあえず初見の印象は、子供向けの作りだなあ…でした。『コラライン』もそうでしたが、あちらは大人の視点も感じたんです。勿論、退屈ゆえの見逃しがあるかもなので、ソフト化で再見する予定。

キャラデザは面白かった。特にドーン兄弟のいかにも実在しそう感。

またコートニーちゃんの声がよく、巨尻のアメリカンに萌えました。

<2013.4.17記>
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