『何故 少女があんな嘘をついてしまうのか』
を考え出した時点で、既に先入観にのまれてしまっている気がする。
ついた嘘を、一人の少女のそれではなく、一人の女性のそれだとすると、凄く合点がいく。
両親は喧嘩ばかりして自分には目もくれず、
兄は思春期真っ只中で戯けるように猥褻な画像を自分に見せつけてくる。
そんな不安定な環境の中で
好意を抱いた男性に対して、
思いを認めた手紙を
「他の男の子に渡しなさい」
なんて言われたら
女性のプライドはひどく傷ついてしまう。
そんな男性に対して
少しでも自分に気を向けて欲しくて
誰かに気付いて欲しくて
相手にして欲しくて
ついてしまった無邪気な嘘。
その嘘に翻弄される周囲の大人達。
彼女が幼いというだけで、自我やプライドなど存在しないものと決めつけてしまう。
そして『幼女趣味の変態男』の先入観やレッテルが貼られてしまった暁に、
自分が最も信頼をする人間に
銃口を向けられてしまう虚しさ。
ルーカスは
先入観に翻弄され
ある意味、固定観念に殺されてしまったのであろう。
悲しく、虚しい物語。