しちれゆ

偽りなき者のしちれゆのレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
4.2
「ルーカスのはピンと立ってるの。太い棒みたいに」

クララはルーカス(マッツ・ミケルセン)にハートの形のプレゼントをあげる。男の子たちと楽しそうに遊んでる彼にチュッてする。「唇はダメだぞ」驚いたルーカスがクララの恋心をやんわりとたしなめ諭したことが発端だった。クララの仕返し。やがて噂は町中に拡がり調査官がやって来る。クララ役アニカ・ビタコプ、頻繁に唇を曲げて鼻をすする仕草で嘘をついてる後ろめたさと、あとに引けない畏れを表しているのが見事。同席した園長先生がこれまた潔癖で調査官の「白いもの」というひと言で吐いちゃう。そんなに!?

冒頭クララをどっちが幼稚園に送って行くかを押し付け合い怒鳴りあっている両親とそれを家の外で悲しそうに聞いているクララ。こんな家庭なのも良くないに決まってる。更に父親は薄々クララの嘘を感じながらも気付かないふりをするのだから。

変質者と断罪され住民の憎悪の対象となり愛犬を殺され殴られ投石され。でもこの町で生きていくためには全てをなかったことにしなくては。クララを抱っこして目をうるませるマッツ様が愛しい…そして恐ろしいラスト。人間の良心ってなんだろう。
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