さわら

地獄でなぜ悪いのさわらのレビュー・感想・評価

地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)
4.5
ラジオで町山氏が、今作を「風立ちぬ」や「桐山〜」に通ずる作品って紹介してたけど、まさにその通り。要はやりたいものをやる、それだけ。「好きな映画撮ってなぜ悪い」というが如く、園監督が好き勝手やっている(血が出るわ腕・首飛ぶわ、まさに狂喜乱舞の地獄絵図)。話の辻褄なんてあったもんじゃない。それって商業映画としてどうなの、って意見もあるだろうが個人的にはこういう映画に弱い。監督が好き勝手やって、「見たきゃ見ろ!」ってなんか良いしかっこいい。園監督作品は「自転車吐息」などから見ているが、そのときは休日満席のシネコンで園映画の新作を見れる日がくるとは思ってもいなかった。少し感慨深い。長谷川博己演じる平田は園監督自身がモデルだという。不覚にも平田と佐々木がゲームセンターで殴り合うシーンで泣きそうになった。平田の映画への熱い思いに、激しく感動。ファックボンバーズの上に、今の園子温あり。描かれてるのは監督の映画愛だ。だから映画好きの人は、嫌いと言えない映画だと思う(なぜなら自分を否定することになるから)。そう考えると、今作はズルい作品でもある。