パンケーキレンズ

海と大陸のパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

海と大陸(2011年製作の映画)
4.0
ヨーロッパ映画は、移民・難民を取り上げた映画がとても多いですね

こちらは、イタリアはシチリア島より南に位置する小さな島リノーサが舞台

漁師の家族と、流れ着いた難民母子を描いたドラマです

小さな島が舞台ながらも
主人公である青年の境遇
家族をとりまく環境
島全体の経済問題
そこに、難民問題も絡んで
色んな問題が提示されていますが
短いながらもスッキリ纏まって
それでいて、それぞれの人物の思わんとするところが
身近に迫ってきました

生きる上での、選択・・・

この一言に尽きるドラマです

島を取り囲む、様々な側面の光と影が
緻密に絡んで行くのです・・・

青年フィリッポの、純粋だからこその呵責に苦しむ姿が
時には、焦りにも似た不安だったり
時には、青春を人並みにすら謳歌できない苛立ちであったり・・・

難民問題は、遠い国の出来事なのに
不思議と、自分の事のように心に迫ってくるのは、なぜでしょう・・・

フィリッポにとっては、青春の1ページに刻まれるはずの
ミラノ娘との、夜のボートシーンが
まさか、あんなことになるなんて・・・
とても、印象的なシーンでした
とても、怖かったです

観光客、難民たちが、様々な問題を投げ掛けては、島を後にして行く

取り残された、住民であるフィリッポ・・・

何故か、虚しささえ覚えました・・・

命がけで生きる彼らが、生きる上での選択を問うてくる
コンパクトながらも、ずっしり重く、だけど、サラッと呑み込める上手さも光る
なかなかの良作でした♪