このレビューはネタバレを含みます
監督の作品に通底する、家族たらしめるのは「血の繋がりか共有した時間か」のテーマに一個の回答が提示された作品だと思った。
血の繋がる子供の写真をスクロールしていく中で、血の繋がらない子供に対しての自分の父としての過ちに気付くシーンに、監督の答えの一つが内包してると思う。
血の繋がる息子と育てた息子の両方を得ようとした結果、両方から拒絶される残酷さを描きつつも、血の繋がった息子によって「父親」になったことで、繋がっていない息子に対して「父親」になるのは、血で築かれた家族と、時間で築かれた家族の両方を間接的に肯定している優しさも感じる。
若干ツッコミ所のある展開や、福山雅治の時折見えるトレンディ感には少なからず好みが分かれそうだけど、監督節全開の言葉回しや伏線回収は相変わらず抜群で飽きることは無かったし、後の「万引き家族」が抱えるテーマに繋がる部分もあるので観る価値は充分にある作品。
リリー・フランキー&真木よう子夫妻の生活シーンをもっと観たかった。