原ペコ

そして父になるの原ペコのネタバレレビュー・内容・結末

そして父になる(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

父親って、不器用だなぁ。というのが素直な感想。

人間対人間の関係性を作るのは、
それまでの過程でぶつかったりするから本当にしんどいから嫌になるけど
でもそれをした先にしか、何か自分の心の奥のわだかまりは消えないんだろうな、と。

だから、看護士さんも子供にモヤモヤをぶつけてしまうし
野々宮家は、いつもなんだかぎこちない笑顔でいつも困り顔で、怒り顔。

発表会のシーンは、リリーフランキーだったらきっと、発表会に出てることに対してすごい喜んでくれて
上手くできたかどうかなんて、全然気にしないんだろうなと感じた。

家の対比もそうだし、母親父親の対比も強烈。
だんだんと、ピシッとしていた洋服も緩んでいって
“静”という印象の福山雅治が、最後はキャンプの格好で走り出す。

写真をやっと見返してみて、息子からの愛情が今になって届いて
いかに自分が表面だけを見ていたのか、実感したのかな。
息子はちゃんと、個人として、1人の父親として自分を見ていた。そこに職業や会社の立場や年収なんて何にも関係ない自分の姿。

血縁とか容姿とか気にしているのなんて、子供と向き合っていない男だけだよといったような言葉がありますが
母親も、リリーフランキーも、とっくにそんなの超えているんですよね。

だからこそ、最後、同じ目線で、けいたに触れて抱きしめられた彼の姿と
電気屋なんてと見下していた家の前に裕福の象徴としての車も馴染んで、みんなで仲良く同じ家に入っていったシーンはとても感動しました。
この先どうなるのか、どうしたのかは描かれていないけれど
きっともう大丈夫と思えるラストシーン。
蝉の話で15年のキーワードが出てきましたが、もうだれも、短期間でどうにかしようなんて思っていないから。
ゆっくりゆっくり、でもしっかりと、時間と関係性を紡いでいくんだろうな。

また時間が経ったら、自分の家族構成が変わったら見てみたいと思います。
原ペコ

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