雨のなかの男

そして父になるの雨のなかの男のネタバレレビュー・内容・結末

そして父になる(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

U-NEXTで二度目の鑑賞。主人公の葛藤や苛立ちに主眼を置き、観ている側に子供側の視点が欠落しているという事実に終始気づかせない演出はお見事だと思う。そしてその視線を、いま、ここにいないその子の視線を表象する手段としてカメラが使われていることにもとても感動した。『そして父になる』というタイトルは子供の視点から見た話でもあったという事実にはっとさせられる。親は自称するだけではなく、子供に認められてこその親で、そこに血は関係ないのかもしれない。家族という集団が何で結びつき、あるいは何によってほつれていくのかを考察する是枝裕和監督の主題が手に取るようにわかる作品だった。
また単一的な父性像を描くのみならず、福山雅治やリリー・フランキー、夏八木勲、國村隼と、「父になった」それぞれの男たちが見せる多様な父性像も見どころのひとつだと思う。タイトルから「父親かくあるべき」を語る映画とも取られかねないが、多角的に「父親」を考察している点でそれは意図的にしっかり回避していると思う。
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