さわら

クロニクルのさわらのレビュー・感想・評価

クロニクル(2012年製作の映画)
4.0
POV方式の演出が苦手で、意図的にそういう映画をさけてきたのだが、劇場公開を熱望していた作品なので渋々鑑賞。しかし尺が90分弱で、さらに途中からカメラを超能力で浮かせながら撮影するって設定になるので、POV方式らしさは薄れる。鑑賞前の心配は杞憂に終わった。映画を見てると「CGってここまで出来んだぜ!」ってジョシュ・トランク監督の自慢げな声がする。そこまでしなくても…っていう、CG過剰なシーンが続くが、その振り切れ方がアメリカ人好みなんだろうとも思う。それにしても、アンドリュー役のデイン・デハーンがとんでもなく冴えなくて良い!彼自身まだ若いんだろうが、目のどす黒さ、目の下のくま、そして額の広さ(髪の量がお世辞にも豊かとは思えない)、見るからに幸薄そうな感じがとてもいい。学校でも家庭でも恵まれないアンドリューが、超能力を身につけることで、アナキンがダークサイドに落ちるがごとく、心を悪に蝕まれてく。CGばかりが目立つのだが、悲しきアンドリューの運命を思うと不思議と涙が出そうになる。アンドリュー、僕は君を恨めそうにないよ!この映画、2週間限定上映なのでお見逃しなく。