MasaichiYaguchi

ホビット 竜に奪われた王国のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
原作を読んだ人なら感じると思うが、この映画には原作にはない様々な要素がある。
先ずキャスト。
この作品では原作にはないキャラクターたちが登場する。
勿論原作通りに主人公の活躍も描かれるのだが、それが霞んでしまう程、彼らの活躍は目覚しい!
同様に強大な「敵の親玉」も姿を現す。
この「親玉」率いる軍団とビルボやトーリンたちが対峙するのだが、その時に獅子奮迅の戦いを繰り広げるのが原作にはない彼ら。
そしてストーリー展開。
脚本も担当したピーター・ジャクソン監督は、原作の文学的な暗くゆったりとした流れの一部割愛し、その代わりに手に汗握るアクションやスペクタクルをてんこ盛りした。
本作を観ると、当初二部作の予定だったのが三部作になった理由が分かる。
監督は、観客にファンタジー活劇の醍醐味を存分に味わってもらう為、エンターテインメントに徹した作りにしたと思う。
更に本作は、前作の「思いがけない冒険」より「ロード・オブ・ザ・リング」との親和性を強く打ち出したように感じられる。
これらの要素以外で特筆すべきことは、邪悪な竜スマウグを声とモーションキャプチャーで演じたベネディクト・カンバーバッチにあると思う。
彼は本作で「死人使い」も演じているようだが、彼の演じる「悪」の存在感は圧倒的だ。
人の内なる「陰と陽、光と影」を壮大な冒険ファンタジーで描く本シリーズ、原作とは一味も二味も違う大団円を迎えるのか、この作品の終わり方では完結編を早く観たいと渇望する人々が続出すると思う。