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ノー・ワン・リヴズのEikeのレビュー・感想・評価

ノー・ワン・リヴズ(2012年製作の映画)
3.0
日本人監督、北村龍平氏によるスリラージャンル作。
ホラー色の濃いB級映画ですがアメリカ映画のバイタリティはこういう作品が下支えして来たのも事実。
SAWシリーズのジェームズ・ワンやFinal Destinationシリーズのジェームズ・ウォンなどアメリカ以外からの人材もやはりこうしたジャンル作品で実績を積んで行ったのが既定コースなのだ。
日本人のクリエイターにも是非頑張っていただきたい。

北村監督と言えばアメリカデビュー作”Midnight Meat Train”もゴリゴリのホラー映画でしたが本作はジャンル的にはスリラー映画と言うのが相応しい気がしますがヒネリの入ったプロットが売りの作品と言う訳では、実は無い。
同様の展開の作品は過去にもありましたし、勘の良い客なら本編の早い段階で予想することもできたりするのでは?
サイコホラーのテイストの入ったドラマはさすがに飽和気味な訳で目新しさに欠けると言えるかもしれません。

しかし本作、その手のジャンルがお好きな方へのサービスは豊富でテンポも悪くありません。
特徴としては「ツユだく」であること(笑)。
基本、悪い奴らばかりが出て来るお話なので屍累々の展開が待ち受けております。
ただ、その流血の度合いがかなり高目で、しかもかなり痛い描写(グロもあり)が満載なのでその手のファンなら満足できるのではないでしょうか。

受難のヒロイン、エマ(アデレイド・クレメンズ)とドライバー(ルーク・エバンス)の関係が既定の枠組から少々外れている辺りにも工夫が盛り込まれています。
ただ、この部分の説明は少し不足している気がして今一つこの両者の関係に入り込めないのは残念。
無敵のサイコパスが行く手を遮る者を皆殺しにして主人公に迫ってくる展開はもちろん「ヒッチャー」(86)を彷彿とさせます。
実際、ルトガー・ハウアーが扮したジョン・ライダーに対するオマージュっぽい描写も出てきたりしてジャンルファンには嬉しい所です。
時間も間延びしておりませんので流血や残虐描写に抵抗がない、その手の作品がお好きな方ならサックリと楽しめるのではないでしょうか。

ところで、本作はフランス系のPatheとアメリカのWWEスタジオによる共同製作。
このWWEというのはWorld Wrestling Entertainment Inc.のことでアメリカのプロレス団体です。
同スタジオは自らの団体に所属するレスラーを使った映画製作の為に設立されていて低予算のジャンル作品に特化した映画製作を続けている変わり種です。
この辺りもアメリカらしい。
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