緻密な描写に情感あふれるシーン、愉快な動物たち。出来がいいだけに背筋がぞっと寒くなる気持ち。
ディズニーに範を取る表現も散見されるが、重力や動きの説得力は欠けている。ただ、影の表現はすごくいいと思った。木立の影が人物の上を滑る。アテレコも頑張っていると思う。子供もいっぱい使って歌もいっぱい歌って。
後半部、飛行機の作画がガチで、動物たちは急激に真面目な顔になって無駄口を叩かずテキパキ走る。こういう映画を観て育って、どうして兵隊さんに憧れずにいられるだろう。同化政策、アジア解放論、西洋への敵愾心、全てここでは正当化される。
米兵は多分日本人が英語を喋ってて、相当に馬鹿にしている。よく聞けばちゃんと分かる英語を話していると思う。
いろいろ露骨でめまいがする。しかしこの思想と影響のために技術まで全て否定すべきなのか。小さな子供たちは、自分が死ぬかもしれないし誰かを殺すかもしれないということを、兵隊さんになるという夢で、大人たちに奨励され、そして受け入れていた。私はどうしてもこの事実に打ちのめされる思い。どうしてもエンタメと割り切っては観られない。