むーしゅ

そんなガキなら捨てちゃえば?のむーしゅのレビュー・感想・評価

2.6
 毎年ハリウッド・スターが緑色のスライムまみれになることで話題の"Nickelodeon Kids’ Choice Awards"を主催する米国の子供向けケーブルテレビ・チャンネル「ニコロデオン」が製作した作品。ニコロデオン・ムービーズなのにPG-13指定という挑戦作で、パラマウントの副会長Rob Moore氏は「子供だけでなく、すべての人向けに」と語り、新規層拡大を目指していたことがわかります。

 夫と死別してから精神的に不安定な母親ジョイと、父親の死後一言も話さない弟アルバートと暮らすレンは学校の人気者アーロンからハロウィンパーティに誘われる。パーティ当日、デートの予定がある母親からアルバートの子守を命じられたレンは、仕方なく弟も連れてパーティへ向かうことにするが、目を離した隙に弟がいなくなってしまう。レンは友人達と弟探しを始めるのだか・・・という話。ストーリーだけではPG-13指定の理由はわからないですが、ところどころにティーン向けな下ネタを仕込んでおり、残念ながら少々スベり気味。とりあえず何だか内輪ノリがすごいです。

 それもそのはず本作の主演はニコロデオンのスターVictoria Justiceで、相手役も同じくニコロデオン出身のThomas Mannとキャストが内輪。Victoria Justiceは初主演作でしたが、ティーンアイドルの映画ってやっぱり不完全燃焼で終わりますね。しかも相手役はファンの恨みを買わないためか、PTAの思惑かは知りませんが、見た目冴えないけど性格良い子みたいな 、とりあえず好感度が上がる子がアサインされます。これにはThomas Mannはぴったりでしたが、あまりにも普通すぎてしまってどこかで見たことある作品という印象が強いです。

 とはいえこの映画はそんなことどうだって良いんです。なぜなら町の暴れん坊ヨルゲンを演じたJohnny Knoxvilleと弟アルバートを演じたJackson Nicollが出会ったことこそがこの映画の存在理由になっているからです。Johnny KnoxvilleといえばMTVの大人気番組"Jackass"でお馴染みの人気者。そんな彼が本作でJackson Nicollと出会ったことがきっかけとなり、映画シリーズ4作目の「ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中」を製作しました。Jackson Nicollの役柄は弟アルバートと全く同じで、所謂くそガキ。しかしこの共演で「これだ!」と思って映画を作っているので、本作以上に役にはまっています。もはやこの映画自体を「ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中」のエピソードゼロだと理解すれば、これはこれでありに見えてくる不思議。ニコロデオン・ムービーズ始まって以来初めての赤字作品ですが、何となく報われますね。

 ちなみに原題"Fun Size"は、日本語で言うところのファミリーパックや、お徳用パックみたいなハロウィンで配る用のお菓子に書かれている言葉。邦題はDVDスルーだったこともあり、「そんな彼なら捨てちゃえば?」にあやかっちゃってます。このあたりの潔さは逆に何だか笑えます。
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