ノットステア

真夏の方程式のノットステアのレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
4.2
観た日∶覚えてないけど府中のTOHOシネマズで



○アマプラ紹介文
手つかずの美しい海が残る玻璃ヶ浦。その海底鉱物資源の開発計画の説明会に招かれた湯川は、旅館「緑岩荘」に滞在することに。そこで湯川は一人の少年・恭平と出会う。恭平は親の都合で、夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになったという。翌朝、堤防下の岩場で男性の変死体が発見された。男は旅館のもう一人の宿泊客・塚原。これは事故か、殺人か…。思わぬ形で事件に巻き込まれていく恭平、環境保護活動にのめりこむ旅館の一人娘・成実、観光業がふるわず廃業を考える伯母夫婦。死んだ塚原はなぜこの町にやってきたのか。事件を巡る複雑な因縁が、次第に明らかになっていく。そして、湯川が気づいてしまった事件の悲しき真相とは―― 著 原作 東野圭吾「真夏の方程式」文春文庫刊 (C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社



○感想
先輩と観に行ったのを覚えている。
『容疑者Xの献身』のほうが好き。
今作は胸糞悪いところもあるけど、謎解きとして面白かった。

以下、ネタバレあり















罪の連鎖。悪いことが連鎖していく。仕返しとかだけじゃない連鎖。
不倫、弱みにつけ込み金を無心、殺人の隠蔽、冤罪、自覚のない殺人幇助。
気づかれなければ、バレなければ何をしてもいいわけじゃない。子どもだから気づかないだろうって?秘密や娘を守るためなら仕方ない?

冒頭の電車のシーンで恭平が携帯電話を使用する。両親からの電話に出たことでおじいさんに怒られる。恭平が電源を切らなかったのは両親を心配させないため。子ども嫌いの湯川はクロスワードで遊んでる。おじいさんは恭平から携帯電話を取り上げようとする。携帯電話が飛び、湯川の隣の座席に落ちる。湯川は恭平におにぎりを食べさせ、おにぎりを包んでいたアルミホイルで携帯電話を包む。電波が遮断され、電源を切らなくても電話がなることはないと。

おにぎりを包んでいたアルミホイルで携帯電話包みたくないだろ!勝手に包まれたら僕怒っちゃうと思う、、、

塚原を殺す理由がない。旅館の評判のために事故を隠蔽しようとしたという理由で罰せられる。一酸化炭素中毒で殺したという物的証拠(濡れたダンボール)がない。証言するとすれば恭平。しかし、恭平が証言するということは、恭平自身が自分の犯した過ちに気づくということ。



○印象的なセリフ
成美「先ほど仰っていた遺伝子学的研究による環境保全策っていうのが良くわからないんですけど」
開発したい人「つまり、瑠璃ヶ浦にしか生息していないとわかったものに関しては、なんらかの保護を図ると」
成美「じゃあ他の場所におんなじものがいたら、ここの生物は死滅させても良いということですか?そもそも、瑠璃ヶ浦のすべての生物の遺伝子を調べるなんてできるんですか?」
開発したい人「ですから、できうる限りの手段を使ってですね」
成美「そんなできる限りなんてそんないい加減な」
湯川「良くないな。そういう発言は良くない。専門家でさえ深海生物は完全に把握していない。できないことはできないと正直に言うべきです。地下資源を採鉱すれば生物に必ず被害が出ます。人間はそういうことを繰り返して文明を発達させてきました。だが、その恩恵はあなた達も受けてきたはずだ。あとは、選択の問題です」

湯川「この辺りで地酒が呑めるお店はありますか」

成美「わたしたちの勉強が足りないって言うんですか」
湯川「開発か環境保護か。大事な問題に関わってるんだろ君は。すべてを知ったうえで」
湯川と成美「自分の進むべき」
成美「道を決める、でしょ?」
湯川「勉強してもらわないと困る」

湯川「好奇心は、人を成長させる最大のエネルギー源だ」
恭平「好奇心?」
湯川「例えば、これは何でできている?」
恭平「紙?」
湯川「そう。紙だ。紙なのになぜ底の部分は燃えない?不思議だとは思わないか?」
恭平「不思議。どうして燃えないの?」
湯川「この鍋の中には何が入ってる?」
恭平「貝と海老」
湯川「それと」
恭平「野菜」
湯川「他には?」
恭平「お汁」
湯川「そう。だし汁。すなわち水だ。水は何度で沸騰する?」
恭平「100度。理科の実験でやった」
湯川「水は100度で気体になる。逆に言えば、液体の状態を守っていればこれ以上の高温になることはない。つまり、この紙鍋の中にだし汁が残っている限り、どれだけ熱しても燃えないんだ」
恭平「へ〜」
湯川「また一つ成長したな」



○内容
資源開発計画の説明会。地元住民の意見の対立。中立の立場として意見を述べるために参加する湯川。行きの電車で湯川は恭平という少年に出会う。

湯川は説明会にいた川畑重治・節子(風吹ジュン)夫妻が経営する旅館に宿泊。
川畑夫妻の娘の成美。重治の甥が恭平で再会。

同じ旅館に宿泊していた客の遺体が見つかる。それは元刑事の塚原正次(塩見三省)の遺体。が玻璃ヶ浦で見つかります。足を滑らせた転落死。

東京から来た捜査一課の刑事、岸谷美沙(吉高由里子)が塚原の死に疑問を持ち、湯川に捜査協力を頼む。転落による事故死ではなく、事件。
子ども嫌いの湯川は恭平に科学の面白さを伝えることにする。無意味な討論は時間の無駄だと、説明をサボる。
ペットボトルロケットを使って200m先の海を見る。200m飛ばす理論的放物線に近づけるために繰り返す。水圧や水量を変えて実験。
湯川「わからなくても自分で考えろ。答えを知ったときの喜びはより大きくなる」

実験後、花火の跡や煙突を捜査している警察の様子を見て、湯川は宿の二階を調べる。
湯川は岸谷らに連絡。
慎重に捜査を進めなければ、ある人物の人生が大きくねじ曲がる危険性がある。

夕食。恭平は湯川と一緒に食べる。紙鍋が燃えない話。濡れた紙が炎で乾いたら燃えるかどうかを恭平が試そうとしたとき、湯川はその実験を邪魔し、食べようと言う。
重治は湯川が気づいたと悟る。

湯川は宿を追い出される。それは自首するため。
ホテルに行くとき、湯川は恭平に向かって君はここにいるべきではないかもしれないとつぶやく。

塚原の死因は一酸化炭素中毒死。塚原の宿泊した部屋のボイラーが故障したことが原因。旅館の評判が落ちることを恐れた川畑夫婦が転落死に見せかけた。夫妻逮捕。

湯川らは仙波の冤罪に気づく。
仙波は節子のために罪を被った?長年会っていなかったのに?それはおかしい。男女間の愛情を遥かに凌ぐものを仙波は守りたかったのではないか。それは、子ども。

川畑夫妻には塚原を殺す理由があった。
ホステスの三宅伸子が殺された昔の事件、自首した仙波の取り調べをしたのが塚原正治。
塚原は自首してきた仙波が冤罪だということに気づいた。その真相を探るために旅館に来ていた。
伸子を殺したのは当時十四歳だった川畑成美。
成美は川畑節子と不倫相手の仙波の娘。それを知った伸子が川畑を脅してお金をもらおうと家を訪ねた。しかし家にいたのは成美だけだった。伸子と成美の口論の結果、成美は伸子を刺殺。成美をかばうために仙波が自主した。
実の娘としてかわいがっていた重治も成美を守る決意をしていた。
川畑夫妻は成美が伸子を殺したことを、塚原に暴かれることを恐れ、殺した。

湯川と岸谷は仙波に会いに行く。仙波はなんの証言もしなかったが、ありがとうと伝えてくれと頼む。

湯川は塚原を殺す理由がないため、負けだと言う。

湯川は重治と面会。あれは事故ではない、手を下したのは恭平だと湯川は言う。
足が悪い重治が一人で計画を実行することは不可能。
重治は恭平にお願いをしていた。ロケット花火が煙突の中に入り込まないように、濡れた段ボールでフタをして欲しい。
その結果、一酸化炭素が充満した。
重治は成美を自分の子として育てた。仙波の子だと知らないフリをして。
成美が海を守る理由が身代わりになってくれた実の父仙波のためだということも重治は気づいていた。それでも黙って見守り続けた。家族全員が秘密を抱えていた。お互いを守るために必死に守っていた秘密。そこに塚原が現れた。
一酸化炭素中毒での死はバレることもわかっていた。秘密と成美を守るための犯行。
秘密なんて持っていないと話す重治。苦しいとか辛いなんて思ったことはない。
べっぴんで高嶺の花だった節子が結婚してくれた。産んでくれた娘が可愛いのは当たり前。私の娘だから。湯川の仮説は間違っている。
湯川「最後に一つだけ。恭平君に伝えたいことはありませんか?」
重治「ごめんなと。せっかくの夏休みだったのに。ごめんなと」

成美は節子に、重治が全部知っていたと伝える。
節子は事故のとき、本当に事故なのか重治に聞いていた。

成美は湯川と潜る。成美は罰を受けようと思うと言う。
湯川は仙波からのありがとうという伝言を伝える。みんなから愛されている。成美には使命がある。それは恭平を守ること。

恭平は自分がしたことに気づく。
湯川は恭平の心配をする。
湯川→成美「恭平君はいつか気がつくだろう。自分が何をしてしまったのか。その時から彼は自分自身を責め、秘密を抱えながら生きていくことになる。だが同時に、きっと知りたいと思うはずだ。あのときなぜおじさんは、自分にあんなことをさせたのだろうと。彼がそれを君に聞いてきたとき、そのときは、真実を包み隠さず話してほしい。」「すべてを知ったうえで、自分の進むべき道を決めるために」

湯川は帰る恭平にペットボトルロケットの記録を渡す。
恭平「博士、僕。花火やっちゃいけなかった」
湯川「楽しかったな」「この夏休み、君はいろいろなことを学んだ。問題には必ず答えがある。だけど、それをすぐに導き出せるとは限らない。これから先、君はそういうことをいくつも経験していくだろう。それは僕も同じだ。でも焦ることはない。僕たち自身が成長していけば、きっとその答えにたどり着けるはずだ。君がその答えを見つけるまで、僕も一緒に考える。一緒に悩み続ける。忘れるな。君は1人じゃない」
恭平「はい」