くりふ

パシフィック・リムのくりふのレビュー・感想・評価

パシフィック・リム(2013年製作の映画)
3.0
【昭和ロボはつらいよ】

夏休み言うとるのに追ってくる仕事を振り切り、IMAX3Dでバカになり素直な気持ち(笑)で楽しもうとしたがアカン、外された。IMAX損や…。

そもそも要である格闘技そのものを、このトトロ体型トロ監督は面白く撮れないんじゃないか?ロボ乗り前、凛子さんと主人公との体術バトルで既にトホホ感漂い嫌な予感がしたが、当たってしまった…。

OTAKUリスペクトというけれど、KAIJYUは『ジュラシック・パーク』に始まるハリウッド製CG獣の系譜にあるもので、怪獣の子孫とは思えない。

逆に欧米発では見慣れぬ巨大ロボに和製DNAは感じるけど、センスは昭和で止まっていますね。

例えばガンダムは、始まりは昭和ロボでも、戦時の開発競争に揉まれスピード化していったし、平成エヴァはロボに見えても生体で、生体vs生体のギリギリバトルを繰り広げていた。

比して本作のロボは愚鈍にさえ見える。人体と連動しているのに40年前のジャンボーグAより遅いんでない?だから俊敏なKAIJYUとのバランスが悪く、映像の説得力として何故ロボが勝てるかわからない。

ガチバトルなのに疎外感。猪木アリ戦(昭和ネタ)の納得いかなさみたいな。違うか。

要は面白きゃいいのだけれど、肝心なところで首傾げまくり。だから余計なこと考えちゃう。IMAX3Dの画面がかえって見づらかったことも災いしたかも。暗くてゴチャついて戦況よくわかんないんだもん(笑)。

唯一、香港戦はみ応えあった。お話が一本繋がっているし、市街地が図と地でいう地の役割となって、闘いを引き立てていたと思う。

ロボよりロン・パールマン演じるKAIJYU屋の方が面白くて、私はもっとそっちを掘って欲しかったですね。おそらく彼が唯一、本作の経済面担当じゃないでしょうか(笑)。

凛子さんはいい女優さんなのか私サパリわからないですが、本作では時々魅力的でした。奥ゆかしい面がいい、というあたり相変わらず「ハリウッドが夢見る日本女性枠」からはみ出てないですけどね。

愛菜ちゃんはよかったですね。アイドル撮りされず、一人の人物として撮られそれに応えて、アジアンブサ顔なのに素敵です。

でもなー赤い靴のエピソード、つかみはいいのにオチがヘン。無くしたのを見つけてとっておいた、というならまだわかる。でも彼女が彼にあげるのはヘンだし、彼が幼女の靴を欲しがったってこと?…てことは本作、ロボや怪獣だけでなく宮崎駿リスペク(以下自粛)。

シナリオには期待してなかったけど、全般テキトーですね。肝心なところはキチンとして欲しかったなあ。

例えば終盤の「関所抜け」は盛り上がるところだけど、行きはよくてもアレじゃ戻れない筈じゃないの?感動場面の筈なのに、ずっと首傾げてました(笑)。

でコレ結局は、宇宙人が攻めてきたってだけのお話でしたねー。近所の小学生に書かせたんじゃないか?脚本料、いくらなんだろう。

せめて『ガンヘッド』のニム軍曹みたいなヒロインがいてくれればなあ…といま、昭和ネタを唐突に、思い出しました。

<2013.8.18記>
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