ポックンポクン

共喰いのポックンポクンのレビュー・感想・評価

共喰い(2013年製作の映画)
2.9
男の暴力性への女の受容と反逆がテーマとなっているが、男をそうさせる因果的心象が描かれておらず、いわゆるクズ男の振る舞いの雛形を安易に借りている印象に思えてしまった。そういった男の相反感情やクズさに混じる救いだったり魅力の描写が乏しく、それに比例して女性のギリギリの受容や否定さえもが薄まって見えた。田中裕子の湿っぽさだけが残った。父親役の配役はもっと汚ねぇ感じで泥臭くて絶対的な力を誇示しながら家族を押さえつけてるような感じなら良かったのにと思ったが、それは「血と骨」のビートたけしが醸した役。
役者が役者人生で培ってきたイメージや醸すものの力について思いを巡らすに至る。
表現は如何にして分かり易くて陳腐になるのか。''やりたいことは伝わるのだけど'' というエアポケットに押し込められたような不信感をかなり最初から抱いて観ていた。ただただ田中裕子の湿っぽさを幾らか欲情しながら観ていた。ちなみに原作は見ていない。