ポックンポクン

バービーのポックンポクンのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
2.5
フェミニズムや父権社会、多様性と人種差別問題やアイデンティティの問題がモチーフとなっていた。冒頭はまさかこれでずっと続かないよなと不安いっぱいの胡散臭いアメリカで満ちていたが、それは枕だったと分かって展開が気になった。が、示唆に富んでいたものの、巧妙にできた映画の形を借りたプロパガンダですらなく、ポリコレをパロディしたコメディであり、アメリカの独善的正義感がそのまま映し出されていたと言わざるを得ないKY
さはむしろ議論の余地を多く産むはずだ。映画としては最悪と言わざるを得ない。

偶像も最初は虚像でしかない。意味や価値は、文脈そして共有される相場において創造されていく。そこに必要とされるのは共感であり、そして時間が必要とされる。
これほどまでにこの映画に共感出来なかった自分がなぜそうなったのかが興味深い。多様性の名のもとに新たに作られる偶像たちにこそむしろ表層的な欺瞞や詭弁性を感じるのはそれらがエイジングされていないからに他ならない。
原初的にはすべてが虚像でカルトだったわけで。受け入れる準備が整ってないわけです。
その点で共感もそのための前段描写も何か大きく欠落した映画だったように思う。
ただし、グローバリズムの名のもとに不平等なことに加担してきた日本の責任は重く、多様性議論を否定しきれないつらさを感じながら観ていた。
個人的には鎖国して恥の文化の中で内緒で畳の上で浴衣で夜這いしたりしたいものです。大正ロマンくらいの西洋アンティークなロケーションでも心の準備は出来ています。
そのために初めてレディファーストでありたいと思えるわけでやんして。
詰襟のイギリス式で島国で育てられたわけです。
家父長制崩壊やフェミニズム、LGBTQやBLMの問題はコミュニストやグローバリストが税収増と人口削減のために誘導したとか目にすることがあるが、それがどうかは分からないが結果としては個人のアイデンティティが強く求められるようになるように思える。その点でこの映画はモチーフのひとつにアイデンティティを選んだに違いない。国家やルーツや家族が分断された以上、何者でもない個々のもうそれ以上分け隔つことの出来ぬ個性とは何ぞやと。
人口が増えて少数派の共有創造した文脈的価値感が熟すのなら否定出来ない。そのアイデンティティが当たり前になる時、またはアイデンティティを声高に主張せずにすむ社会とは?

この映画は、熟す前に採った果実は種すら残さないというような危険性を孕んでいるように思う。