はる

共喰いのはるのレビュー・感想・評価

共喰い(2013年製作の映画)
3.7
19歳でこれを演じた菅田将暉がすごいです。
『バスケットボール・ダイアリーズ』のディカプリオを彷彿とさせる。役者としての覚悟を感じました。(第37回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞)
セックスの時、女を殴りつけるという性癖を持つダメおやじには光石研さん、片方の手首から先を戦争で失った母親役に田中裕子。
このふたりの引き込まれるような演技も素晴らしかったです。

私の日常とはかけ離れているので、1人も共感出来る人物はいなかったのに、とてもリアルに感じるという不思議な感覚でした。
原作が芥川賞受賞作というのもありますが、映画の作り手に依るところも大きいと思います。

後半で「あの人」に言及するのでビックリしましたが、そのおかげでピンポイントで時代背景が見えてきて、「あの頃ならこんな事もあったかもな」と妙に納得してしまいました。(当時、怪しげなおじさんとつき合ってる友人がいたから)
「あの人」のままにしておけばよかったのに、その後、お名前が明かされるのは少し残念でしたが、菅田将暉世代にも分かるように、との配慮なのかな?

「穢れた血」で主人公が苦悩するという内容でしたが、生理中は神社の鳥居をくぐらないという女性もいて、スピリチュアルな雰囲気も感じられました。
そういえば、菅田将暉と小松菜奈主演の『溺れるナイフ』も神社絡みでしたね。
「穢れ」とか「神さま」という日本特有の感覚も面白かったです。
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