Kana

共喰いのKanaのレビュー・感想・評価

共喰い(2013年製作の映画)
3.0
時代は昭和末期、暴力的な父親のもとで育った少年が思春期を迎える中で、性と暴力の衝動に突き動かされていく…。
一昔前の日本映画独特の陰鬱とした雰囲気を再現した空気感。
少年として、男として、理性と欲望の間で揺れ動く繊細な年頃が当時の菅田将暉にぴったり。
親父は始まりから終わりまで悪だなぁ。
当時はそうでなくても亭主関白が大多数を占めていたのだと思う。
そんな男に心を許してしまう女性がどうして後をたたないのか…。
今ならPTSDとかカウンセリングとか言ってケアしてくれる第三者がいるけれど、この時代はきっと閉塞感だけが立ち込めていたのだと思う。
そうゆう時代の懐かしさや嫌悪感を醸し出してくれる描き方。
じゃあ作品全体のメッセージはどこにあるのかというと、やっぱりこのタイトルそのものなのかなと。

ちなみにちょっと前にこれが立場逆転して女性が暴力的衝動を抑えられない作品を見ました。
舞台や時代は全く違えど男だとなぜか悪の権化に映り、女だと哀れな気狂いに映るというのは…私の中にも無意識の性差別的偏見があるのかな。
男が暴力を振るうのはどこかでデフォルトというか、男の本能にそういう性癖が秘められているんじゃないかと考えてしまう節がある。
対して女が暴力を振るうのはネジが外れたような印象が強いというか、男女共理性と本能どちらも持ち合わせているはずなのに、この辺の解釈が違ってしまうのは個々の作品の描き方故なのか、どうも難しいところです…。
Kana

Kana