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眠れる美女ののんchanのレビュー・感想・評価

眠れる美女(2012年製作の映画)
3.9
マルコ・ベロッキオ監督作品鑑賞3本目❗️

"尊厳死がテーマ"
眠り続ける3人の女性を見守る三者三様の対応。
・妻の死を考える議員の夫
・娘から離れられない女優の母親
・救急患者を見守る医師

舞台は2009年、イタリア。
トップニュースは、17年間植物状態のエルアーナ・エングラーロの延命措置停止を認める裁判が確定し、尊厳死をめぐって全国的に議論が巻き起こっていた。

上院議員のウリアーノ(トニ・セルヴィッロ)は病床の妻に1日でも長く生きて欲しいと願うが、立場上、尊厳死に賛成することで悩む。また娘のマリア(アルバ・ロルヴァケル)はそんな父を受け入れられない。しかし、1人の青年を愛した事で父親の心情が見えてくる。

元女優で裕福なディビナ(イザベル・ユペール)は眠り続ける愛娘の回復を信じ、側から片時も離れられず、神をも信じきれず精神が崩壊していく。その状態の母を批判的に見つめる息子。

薬物依存のロッサ(マヤ・サンサ)は自殺願望が強い。それを止める医師のパッリド(ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ)は一晩中付きっきりで1つの命を守りきる。そこには男女の愛が芽生えて。

3つのドラマが交錯するが、ごちゃごちゃはせず、それぞれのドラマの進捗が気にかかる。
キャストの演技が良いのもあって集中して観れた。

ユペールは凛としつつも聖母のような雰囲気を醸す。また俳優を目指す息子に対しての厳しい視線との対比が印象的。

アルバ・ロルヴァケルの神秘的な雰囲気の可愛さ、ラストの父親との和解は泣ける。

医師役ピエール・ジョルジョ・ベロッキオは監督の実の息子。

それぞれが何を感じているのか?表情を映し出す監督の激情が見えるようだった。
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