2004年に起きたM9.1のスマトラ島沖地震。タイの沿岸部で津波被害に遭ったスペイン人家族の実話を基にした映画。
育児休業中の医師マリア（ナオミ・ワッツ）は、夫ヘンリー（ユアン・マクレガー）と3人の息子達とタイのリゾート地でクリスマス休暇を楽しんでいた。しかし一瞬にして津波に飲み込まれ、一家は散り散りになってしまう。
津波の描写が本当に恐ろしい。
一瞬で全てを飲み込む。
木は薙ぎ倒され、車は流され、波に飲まれた人間は濁流の中で為すすべもない。流されてきた物が当たり、刺さり、上下左右もわからず翻弄される。
バラバラになってしまった家族のそれからのドラマに、何度も涙溢れた。
素晴らしきはナオミ・ワッツやユアン・マクレガーをはじめ、3人の子役も含めたキャスト達の熱演。実際に被災した家族の証言を基にしている為、誇張はなく交わす一言一言も忠実に再現している。
特に印象的なのは、長男ルーカスを演じた若き日のトム・ホランド！
スパイダーマンとしての活躍を観ているからこそ感慨もひとしお。まだあどけなさが残り、声も今より更に高い。余談だが、まだ津波が来る前のビーチでバク宙を披露するトム・ホランド。この身体能力と抜群の演技力でスパイダーマンのオーディションで役を勝ち取れたのだ。長男として強さと弱さの両面を内包した複雑なキャラクターを演じ切っていた。
津波の恐ろしさは一緒にいた筈の家族を完全に引き剥がしてしまう程の強さ。だからこそ懸命に家族を探す姿が胸を打ち、再会出来た喜びに涙が溢れる。
モデルになった家族によると、証言と違うのは劇中に出て来るボールの色だけ。そこまで徹底して描いたリアリティが観ている我々をも濁流の渦に巻き込む。
もう涙が枯れ果てるかと思う程泣きました。
