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インポッシブルのAKのレビュー・感想・評価

インポッシブル(2012年製作の映画)
4.3
2004年のクリスマス休暇をタイのリゾート地で過ごしていた一家が、スマトラ島沖地震による津波に巻き込まれ、離れ離れになった家族を探す実話に基づく物語。

実際に映画のモデルとなった家族がこの映画の制作に全面協力しているとの事で、劇中の台詞や出来事の細部に至るまで、限りなく事実に沿って忠実に描かれているそうです。

津波のシーンが本当にリアルに描かれていて、迫り来る津波の恐怖と、人々を襲う容赦のない悲劇が、あの日スマトラ島沖地震で何が起こったのかを鮮明に描いていて胸を締めつけられます。

夫婦役のナオミ・ワッツとユアン・マクレガーの演技は勿論素晴らしかったけど、やっぱり1番光っていたのは、離れ離れになった家族の中で再会に向け孤軍奮闘する長男役のトムホの演技。

彼の演技にずっと涙が止まりませんでした。

まだ小さな体で自分も怖かったはずなのに、重症の母を支え、そして母の教え通りに他人の家族も探してあげるその優しさがたまらなく切ない。

「事実を忠実に伝える為に作られた映画」という事なので、実際にもモデルとなった家族の長男君は頑張ったんだと思う。

本当によく頑張ったねって言ってあげたい。

津波から数年経った今、実際の長男君は医療の勉強をしているそうですが、演じたトムホの数年後はクモ男になってます。

映画の背景として描かれているのは世界的に大きな天災の悲劇だけど、そこにあるのは小さな家族絆。

物語として無理矢理大きな仕掛けや強引なストーリーのうねりを作らなくても、1つの事実があれば感動はちゃんと伝わると教えてくれた作品でもありました。

地震大国の日本も、過去に大きな津波が起きているし、決して他人事ではありません。
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