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ホーリー・モーターズのmisaのレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
3.8
極めてメタ的な作品である。
冒頭観客を映し出すシーンは観客がスクリーンの中の観客を眺める構造を作り出すことで今からの自己言及を示唆し、曖昧な境界を探す時間が始まる。
連なるエピソードから読み取れるのは、「映画とは/世界とはまやかしである」ということだ。オスカーは演じ、オスカー自身が演じられている。どこまでが「演技」で、どこからが「現実」なのか。
その中でたばこはオープニング・エピソードを越境して用いられ、境界のあいまいな世界を繋ぐモチーフになっていたと言えよう。
映画史に対する、映画への態度に対する言及や奇妙な表現が、観客の時間にまで拡張されることで、「世界」は揺らぎ始めるのであった。
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