KANA

孤独な天使たちのKANAのレビュー・感想・評価

孤独な天使たち(2012年製作の映画)
3.8
あらかじめ生活に必要なモノをひととおり調達して、親を騙して地下で一人時間を一週間満喫する!…このロレンツォの計画には一緒にワクワク。彼の行為一つひとつがいい。とてつもなくナンセンスで。異母姉が踏み込んできた時は「も〜、邪魔!」って思っちゃったけど、彼女の登場によって同じ篭りの世界でも彼の中で“孤独”をシェアする喜びの感情が少しずつ芽生えてくる。その機微こそがこの作品の醍醐味のように感じた。『ドリーマーズ』と状況が似ているようでコアは違う。ゲンズブールの『シャルロット・フォーエヴァー』みたいに変態デカダンまで行ってしまうでもない匙加減がよかった。
あと音楽がツボ。テヴィッド・ボウイのSpace Oddity。幻想的ともいえるオリヴィアとのダンスシーンは孤独な若者に向けた歌詞のイタリア語バージョン、久々に陽光を全身で浴びるラストは宇宙船で旅立つ歌詞のオリジナルバージョンで、それぞれシーンとのマッチングが素晴らしくて洒落てる。
おじいちゃんの域に達しても今だこういう瑞々しい視点の青春映画を撮れるベルトルッチはスゴイ。
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