えいがドゥロヴァウ

プッシャー3のえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

プッシャー3(2005年製作の映画)
3.8
ニコラス・ウィンディング・レフン監督『プッシャー』シリーズ
夏の3部作イッキ観フェア

本作の主人公はミロ
シリーズとしては意外すぎる、およそ似つかわしくない場所から物語がスタートします
前2作では麻薬密売のドンとしての貫禄を発揮していましたが
本作では何かとションボリ哀愁を感じさせます
娘の誕生日パーティーの準備や本番の裏で良からぬことが起こりまくる
そんな長い長い1日を描きます

時代の移り変わり
老い
ヘロインやコカインの扱いはお手の物だけれど
エクスタシーやスピード?なんじゃそりゃ
最近幅を利かせている若造にはナメられっぱなし
趣味の料理作りの腕前は絶望的で
それを食べた手下たちは腹を壊して使い物にならない
甘やかして育てた娘は我が儘を言いたい放題
ヘロイン中毒の更生セミナーに通っているのに
知り合いのアホなチンピラ(2作目にも登場)が「吸いなよ」と言ってヘロインを置いていきやがった
これは吸わねばやってられんぞ
吸ってやる!吸ってやる!
やばい久しぶりだからむっちゃ効く!!
そして、むしゃくしゃと緊張と疲労とがピークに達して
とうとうミロはプッツンしてしまいます

山場はやはりクライマックス
1作目から久しぶりに登場したラドヴァン(この人好きです)は
足を洗ったと言いつつ渋々ミロに協力した割に
いざ拷問となるともうノリノリ
そして深夜の人体解体ショー!!
それぞれ青と赤のシャツを着たエプロン姿のおっさん2人が死体を吊るし上げている様子は
エミール・クストリッツァ『黒猫・白猫』の列車の遮断機に引っかかった死体のようなシュールな名ショット
シリーズとしては今までバイオレンスを扱いながらも直接的な表現は比較的避けられていたぶん
何かしらタガが外れたようなグロ描写
必殺の臓物シュレッダーが炸裂ですぞ!