オランダ出身の写真家アントン・コービン。ザ・ローリング・ストーンズからコールドプレイまで、名だたるミュージシャンを撮り続ける世界的に著名なロック・フォトグラファー。
本作は４年に渡って彼の活動を追い、U2、メタリカ、ルー・リード、デペッシュ・モード、アーケイド・ファイアとのコラボレーションも映像に収めたクリエイティヴィティのあり様を照らす、希有なドキュメンタリーである。
アントン・コービンは、主にU2のMVを多く手がけているが、劇中で流れるDepeche Modeの『Enjoy the Silence』、Nirvanaの『Heart -Shaped Box』がマイ・フェイバリット。余談だがNirvanaの同曲が収められたアルバムIn Uteroは当時から永遠に色褪せない我が愛聴盤。名プロデューサー、スティーヴ・アルビニが他界してまだ日が浅い。
コービンは、映画監督としても活動しており、ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスの在りし日を描いた初長編作『コントロール』に続き、長編第二作『ラスト・ターゲット』の撮影現場では、快活なジョージ・クルーニーの横顔も伺える。日本未公開のデペッシュ・モードのドキュメンタリー映画『Spirits in the Forest』(2019)が観たい。
「彼が撮る写真の中の自分になりたかった」とのU2のボノの呟きは、コービンが切り取る瞬間の魅力を、見事に言い表している。
コービンの内省的な感性は、「産みの苦しみ」と彼のクリエイティヴにおける様々な苦悩が彼自身の言葉で語られるが、感覚的に共感する言葉が多かった。
Depeche Mode/Enjoy the Silence
https://youtu.be/aGSKrC7dGcY?si=n-eUr1LOw7oNkzN2
Nirvana/Heart-Shaped Box
https://youtu.be/n6P0SitRwy8?si=p7OihNJH1DE1L8Kz
