アキラナウェイ

ブロンソンのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ブロンソン(2008年製作の映画)
3.2
インパクト強め、スキンヘッドのトム・ハーディが睨みつけるジャケット。ずっと気になっていたけどその威圧感になかなか手を出せなかったのも事実。ようやく鑑賞。

子どもの頃から「有名になりたかった」マイケル・ピーターソン(トム・ハーディ)は、郵便局を襲い、7年の実刑判決を受ける。マイケルは服役中は常に反抗的で、看守、囚人らに暴力を繰り返した為、何度も独房に入り、精神病院を含め複数の刑務所をたらい回しにされる。「チャールズ・ブロンソン」とは、有名俳優に因んでボクサー時代に付けられたリングネーム。

これはイギリスで最も有名な囚人の物語。

何だか凄いもんを見せられた…!!
そこにはあるのは、狂気。暴力。
ただ、それだけ。
Out of control!
この男、制御不能!!
ひたすらキレる!怒鳴る!暴れる!

トム・ハーディが劇中殆ど全裸でこの獣の様な囚人を怪演。

えーと…Netflixはモザイクなしでした…。

監督はニコラス・ウィンディング・レフン。「ドライヴ」でも狂気が光る瞬間があったが、もう少し叙情的だった。こちらは、もっと激しく野生的。

本作で監督のセンスが光るのは、バイオレンスをエンターテイメントに昇華させている演出。

チャールズが仮想の舞台で観衆を前に始める自分語り、意外にも美術の才を備えた彼が描いたイラストが動き出すアニメーション演出、(言われてみれば)「時計じかけのオレンジ」を思わせる場面など。

あしゅら男爵みたいなトム・ハーディも強烈なインパクト!

ただ、個人的には全くロジカルではないキャラクターと、起伏のないストーリー(内容はほぼ無い)にあまり惹きつけられず…。

芸術的、お洒落な画を撮るにしては主人公があまりに暴力的なので、撮り方と主題がマッチしていないのが残念。

有名になりたいから強盗
プロポーズする為に宝石店に強盗
塀の中でも外でも殺人だけは犯していない

「悪人」とレッテルを貼るのは少し違う。トム・ハーディの演技によるものでもあるが、不思議と憎めない男の本気にただただ圧倒される。