Eyesworth

氷の微笑のEyesworthのレビュー・感想・評価

氷の微笑(1992年製作の映画)
4.9
【世紀(性器)の一瞬】

ポール・バーホーベン監督、主演をマイケル・ダグラス、シャロン・ストーンが務めたエロティック・サスペンス。

〈あらすじ〉
元ロックスターが全裸のまま白いスカーフでベッドに縛り付けられアイスピックで滅多刺しにされ殺される。被害者の恋人で作家のキャサリン(シャロン・ストーン)がすぐに容疑者に浮上する。彼女は数ヶ月前に事件と全く同じような小説を発表していた。事件を担当した刑事ニック(マイケル・ダグラス)は彼女に対してずっと疑いを持って接していたものの確証は得られない。そこに新たな殺人事件が次々と起こる。やはり彼女が真犯人なのか?それとも別の誰かの仕業か?ニックは捜査の過程で文字通りキャサリンの虜になり翻弄されつつも、彼女の過去を徹底的に調べ上げ事件解決の糸口を必死に探る…。

〈所感〉
シャロン・ストーンの魔性のエロスを味わう映画だが、前提としてストーリーがものすごく面白い。キャサリンはかの有名なノーパン(女性器もしっかり見えている)で尋問に臨む異常者だ。絶対この女が犯人だろ!と作中の誰もが思っているはずなのに、心理学を習得し隙を見せない怜悧さを持つ彼女にいつも躱され、手のひらの上で転がされてしまう。とりわけ刑事ニックはキャサリンと同族の何かを感じたのか、彼女に惹かれ、野性味のあるセックスを繰り広げる。毒は浸透し、やがて手の付けられない状態になっていくにもかかわらず、彼の執念は衰えるどころか燃え上がり、星を挙げるのに躍起になる姿がアッパレ。最初こそ、キャサリンは彼を飽くまで作品(フィクション)の対象としてニックは彼女を飽くまで肉体(ノンフィクション)の対象として見ていたのだろうが、やがてそれが反転していく様を感じられた。お互いにとって両者は水と油ではなく似たもの同士で必要不可欠な存在となったのだろう。マイケル・ダグラスの逞しい精力とシャロン・ストーンの迸る妖艶な身体の交錯は、芸術作品を見ているかと錯覚するほどに堪らない。
「魔性の女」とは、キャサリン・トラメルそして、彼女を演じたシャロン・ストーンのための言葉だと思う。
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