テロメア

狂武蔵のテロメアのレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
5.0
やべえ、これはすげえ、やべえ!
これはエンターテイメントのチャンバラ映画ではなく、チャンバラアート映画とでも称すものだろうか。今までに観たチャンバラ映画ではないことは確かだった。

何百人斬りだと近年では『あずみ』かな。昔だと『椿三十郎』か。そのどちらもエンターテイメントとしてのチャンバラだったが、今作は違う。明らかに描こうとしているものが違う。今までにはない部類だ。

最初、観始めたときは、斬られたら画面からはける。斬られるはける斬られるはけるの延々繰り返しだったのでうーんと思ったが(ワンカットの超々長回しだからね)、観ていくうちに慣れたのかはたまた引き込まれたのか、段々と荒々しくなっていく武蔵の姿がやばかった。言葉ではうまく表せない衝撃でした。やべえ。


チャンバラアート映画。
あるいはチャンバラアクションアート映画かな。

とりあえず、時代劇アクションだとかのエンターテイメント映画ではないので、そうした映画的快感を得たい人にはお勧めできません。お勧めできるとしたら今までに観たことのない、なんかやばいチャンバラ超々長回しアクションアート映画を怖いもの見たさでみようという一種の変人(自分も含めたあれな人)にはお勧めできるかな? 多分。

やばいですよ、これは。



あと、映画的によかった点をいくつか。
まずBlu-rayのパッケージデザインが邦画とは思えないほどカッコいい。邦画ナイズされた洋画も受ける洗礼として、パッケージデザインが集合写真的なあれじゃなく、カッコいいんですよ。ここフィルマークスにある画像はいつもの邦画感ですが、Blu-rayパッケージは素晴らしいですよ。邦画じゃないみたい。

それから音がいい。ドンドンドンドンという音がめっちゃ重たくて痺れる。音でいうと、アクション映画のキモは斬ったり殴ったりしたときの音がいいか悪いかでカッコいいかショボいか分かれるけれど(本物のアクションができる俳優でも音がショボいとアクションもショボく見えるあれ)、これは重たい音がするのでアクションがカッコいい! 特に追撮シーン(前と後ろにおまけ程度ですが)は迫力が凄い。あの長回しを延々と観た後だからこそ、七年後シーンの武蔵がめちゃくちゃ強いのを超えた状態に説得力が半端なかった。もっと観たかったが、あの武蔵と渡り合える奴はいないんだろうな、て感じでしたから短くて正解だったのかも。別映画で観たいですなぁ。武蔵じゃなくていいから観たいな。

他にも色々と面白かったりしたけど(給水ポイントがあったり、換えの刀があったりしてゲームを長時間プレイな感じでもあり面白かったり)、まあこの辺りで。僕のツボには嵌まりましたが、これはなかなか人に勧められる系ではないけれど、観た後のテンションがやばくなるのは、このレビューを勢いに任せて書いていることからもお分かり頂けるかと。


チャンバラアート映画。
変わった映画を観て変なテンションになりたい方は是非!



追記。
これは映画というよりスポーツ観戦に近いかも。試合を最初から最後まで見て、応援していて勝ったときの達成感に近かったかな。なので、90分くらいだけどかなり疲れる。しかし、テンションが上がる。そんな感じでした。なので、試合開始の最初らへんは面白みがわからない。けど、観続けているうちに、段々と面白く感じる。なので、スポーツ観戦な雰囲気。終わった後のテンションがやばくなるのも、スポーツ観戦と同じかと。
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