たつなみ

狂武蔵のたつなみのレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
4.5
予告編を観て一発で惚れた作品。
とにかく坂口拓の凄さしかない。
本当に77分間ワンカット長回しで殺陣が続く。
物語なんて一切関係無し。
でもそれがめちゃくちゃ面白い。
真剣での斬り合いでは無いのは分かってるが、本当に“殺るか殺られるか“っていう緊張感が漂っている。

キレイな剣劇など無く、ひたすら型破りでバイオレントな殺し合いの連続。
TAKさんの身体能力の高さを生かして敵をすっ転ばしてぶった斬ったり、時には意表を突いて飛び掛かったりと、正に『天衣無縫』な戦いぶり。
終盤はゼーゼー言いながら気迫で刀を振るっている。
それでも斬っている姿がちゃんと”画”になっているのは本当に彼の存在感なのだと思う。

『ずーっと殺陣を続ける事なんて出来るのか?』と思って観ていたが、ちゃーんと給水ポイントがあって一休みしてる。
あと途中で吉岡門弟同士の(ヤケに長めの)揉め事が入ったりする。
そりゃそうだわな。
斬られる側も斬られたらカメラの邪魔にならない様にハケてくれるの笑えた。
あと刀を振り上げて『わ〜っ!』て斬りかかって行くやつ多すぎ。
みーんな一太刀で殺られとる。

エンディングの斬れ味も最高過ぎる。
若き日の武蔵の相手にぶつける様な太刀筋から、無駄のない流麗な太刀筋に変わっている所なんかもカッコいい。
終盤ちょっとダレて来たのは残念だったが、この実験的な試みは高く高く評価してあげたい。