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ペーパーボーイ 真夏の引力の一人旅のレビュー・感想・評価

3.0
リー・ダニエルズ監督作。

アメリカの作家:ピート・デクスターによる1995年発表の小説「The Paperboy」を『プレシャス』(09)の黒人監督:リー・ダニエルズが映像化したクライムサスペンスで、ザック・エフロン、マシュー・マコノヒー、ニコール・キッドマン、ジョン・キューザック、スコット・グレンら若手からベテランまで役者陣の豪華競演が見所となっています。

1969年夏のフロリダ州を舞台に、新聞記者の兄:ウォードと新聞配達員の弟:ジャックが、保安官殺害で死刑宣告されている地元の男:ヒラリーの事件の再調査に乗り出すが、ヒラリーの婚約者を名乗る40代の女性:シャーロットが兄弟の前に姿を現したことで、彼女に一目惚れしたジャックは人々の欲望渦巻く人間関係の深みに引きずり込まれていく―というプロットですが、冤罪の可能性がある男を巡る単純な捜査劇とは言い難く、人間の根源的な部分を取り扱った内容となっているため、お話としてはとっつきにくい印象となっています。

物語に夢中になるのは難しいかもしれませんが、沼地に野生のワニが生息するフロリダの自然&熱気&風物や70年代映画を再現した映像づくりに監督独特の感性を読み取ることができる作品で、男達を翻弄する魔性のヒロインを演じたニコール・キッドマンの妖演にも拍手喝采であります。
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