相手の本音が丸見えになる不思議なタバコを手にした男の顛末を描いたコメディ。本音と建前の区別がつけられず、なんでも鵜呑みにしてしまう男が、魔法のタバコを手にしたことで、仕事でも恋愛でも空回りばかりだった人生が変わっていく。
主役のピース又吉さんは、言葉を言葉の通りに受けとる人。無菌室のような環境で育ったから、表情や状況から相手の本音を推し測ることができない男という設定で、演技や風貌はよく似合っていたと思う。
当人は、かなり文化系の気質を持ってるのに体育会系社会のなかで揉まれて、それなりに泥臭い道を歩んできたタレントさんだと思うから、コミュ障イメージはない人だけれど、この映画のなかでは意外にもいい演技をしていて、ちょっとだけ印象が変わった。
私事ですが、今年から全面禁煙スタート。それなのにタバコの映画をみるドM。職場でも吸えなくなるから、紙も電子も処分。最初は、もらいタバコとかですぐ終了すると思ったけれど、わりと続いてる。ぼく頑張ってるよな。叱るだけじゃなくて褒めてほしい。
前は、いつも寄るコンビニの喫煙所で、違う方向を向いてたばこを吸っただけで、しばらく足元が落ち着かなくなったりした。次の日は、道路向きから隣家の垣根に向き直ったらしっくりきて、これがルーティンだったんだと気づく。あそこ横切るたびに、空の内ポケットが寂しくなっちゃう。そんくらいの習慣化したチェーンスモーカー。
一度味を知っちゃったら手放せないんだよな。相手の考えてることがわかるタバコ。こんなのあったら、肺癌一直線。吸ってるあいだだけでも、相手のかんがえてること、わかったらいいのに…。
もう、なんにもわかんないくせに、口許に運んでんな。わかんないんだったら聞いてこい、答えてやるから。タバコくわえて口を塞いだら、お喋りできないんだよ。そう、あたりまえ。やさしく呆れながら、バカだなあって言われるみたいな、優しさの映画だった。こんなのに甘えてちゃいけないんだけどね。
