回想シーンでご飯3杯いける

きっと、うまくいくの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
4.5
ここ10年ぐらいの間に世界的な注目を集めるようになったインド映画。この「きっと、うまくいく」はそんなインドの勢いを思いっきり感じさせる痛快な映画だ。

工科大学の同級生三人組が繰り広げる学生生活。とは言っても、それは決して生易しいものではなく、厳しい競争の中で彼らは大いに悩む。大学の学長がこれまたかなりのクセモノで、成績が悪い学生に罵声を浴びせて自殺に追いやるほどの悪キャラ。現実の話として、現代のインドからは優秀なエンジニアが多数生まれている一方で、加熱する教育現場での競争や、それが原因となる自殺が社会問題になっているそう。そうしたインドの現状をどう捉え描いていくかが本作の見所になっている。

これが日本映画なら、ジメジメ重苦しい映画になっていたかもしれない。これがアメリカ映画なら、熱血ワイルド教師が登場するヒーロー映画になっていたかもしれない。そしてインドから生まれたこの映画は、それを笑いあり、涙あり、恋愛あり、下ネタあり、ダンスありの、ポップでどストレートなエンターテインメント映画に仕上げた。この屈託の無さが本当に素晴らしい。画面に映し出される美しい風景、カラフルなファッション、躍動感溢れる人間達、、、これが製作陣が描きたい世界なのだろう。悩んでいようが、競争が激しかろうが、それを含めての素晴らしき世界なのだ。

映画は3時間弱の長尺だが、物語のキーマンとなる青年"ランチョー"の天真爛漫で独創的なキャラクターがとても魅力的で、彼の活躍や、彼が巻き起こす珍事件を見ているだけで、前半はあっという間に時間が過ぎる。後半は、卒業から10年後に3人組が再会する話が中心になり、サスペンス的な要素も含まれてくるという全部乗せ的展開。とにかく楽しめる映画なので、悩むよりまず見てみるのが吉。あー、青春って素晴らしい!