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コンプライアンス 服従の心理のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.0
アメリカのあるファーストフード店。朝からトラブル続きの金曜日、店は賑わいを見せていた。
そこへ警察官を名乗るダニエルズ(パット・ヒーリー)という男から1本の電話が入る。彼は店長のサンドラ(アン・ダウド)に、女性店員ベッキー(ドリーマ・ウォーカー)に窃盗の疑いがかかっていると告げ、彼女の身体検査を命じる。
警察官の言うことなら……と、その指示に忠実に従うサンドラ。
しかしこれは、その後数時間に渡って行われる“信じがたい行為”の始まりにすぎなかった……。
2004年にアメリカで実際に起きた、警察官と称する男からファーストフード店に電話があり、店員がお客さんの財布からお金を盗んだと被害届けが出ているからその店員を取り調べろと店長に命令して性的虐待まがいのことをさせる事件を元にした映画。
副店長も店長の恋人も怪しいと思い店長に止めるように忠告するが、店長は偽警察官の指示に従ってしまう。
店長が日頃からその店員に反感を持っていたりあまり他人に相談せず一人で問題を解決しようとする傾向があったが、警察官など権威や権力のある人間が「捜査に協力するため」「任務のため」「仕事のため」と無理なことを要求しても怪しみながらも従ってしまうという傾向が人間にあることが、1961年に心理学者ミルグラム教授の実験により明らかになっているように、店長は日頃から反感を持っていた店員を「捜査協力のため」という口実や命令に乗っかり身体検査という虐待行為をエスカレートさせた。
同僚の店員や副店長がおかしいと思っても、警察官と揉めたくなくて止められなかった。店長と同じくらいベテランの清掃員が、勇気を持って止めた。
この事件を通して分かるのは、権威や権力の前では自由意思を通すのが難しく、経験に裏付けられた知性と勇気が自由意思を通すということ。
こういう心理を利用した犯罪には、「おれおれ詐欺」「マルチ商法や新興宗教に洗脳すること」などに利用される。
果たして自分は、ああいう圧力に負けず自由意思を通せるか考えると、背筋がぞくぞくする実話ベースにしたサスペンス映画。
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