さわら

コンプライアンス 服従の心理のさわらのレビュー・感想・評価

3.5
胸糞悪い映画である。あるファーストフード店で実際に起きた事件におきた事件であるらしい。権威者の命令に対し、その権威の及ぶ範囲内の人間は服従し、残虐な行為ですら行ってしまうという「ミルグラム実験」を基にこの映画は描かれている。この実験、調べてみると約50年前に行われた実験だという。通信技術が発達した今だからこそ、起こりうる事件なのかもしれない。そして1番恐いのは残虐行為に及ぶ人が決して心的に追い詰められていない点である。事実、映画内のサンドラも彼女の婚約者も電話に出るまで単なる一般人である。なんでもない人間に犯罪を起こさせる、突拍子もないことのように感じるが実際にあるのかもしれないと感じさせる。非常に恐い映画である。しかし、恐いのだがそれしかない。つまりインパクトが弱いのだ。事件の経過を見せられただけで、恐い以外感じられなかったのが、この映画の不満たる由縁である。2週間もすると忘れ去られる映画のように感じた。