垂直落下式サミング

仮面ライダー対ショッカーの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

仮面ライダー対ショッカー(1972年製作の映画)
4.4
うなれ!心・技・体!
前作はテレビシリーズのエピソードをそのまんま劇場でかけただけの内容だったが、本作は仮面ライダーシリーズ初となる劇場オリジナル作品。
今現在、『シン・仮面ライダー』の影響で初代ライダー1号2号への思いが人生最高潮に高まっているけれど、忙しい現代人はぜんぶを観返すなんてできない。けど、ノスタルジアに浸りたい。
または、今年はじめて仮面ライダーをみて、ライダーってどんなもんか手っ取り早く知りたいけど、シリーズ多すぎてどれみていいかわかんない。そんなあなたに、この一本って感じなんじゃないかな。
原作の怪奇色も程よく残しつつ、本郷・一文字のダブルライダー共演はもちろんのこと、滝和也と立花藤兵衛が後ろに控えていることに安心するし、男臭くなりがちな画面を立花ガールズたちが華やかに飾り、再生怪人たちが景気よく再登場して、世界征服を目論む悪のショッカー軍団は、せっせと近所の子供をいじめる。
幾度もテコ入れを重ねて、ポップな勧善懲悪としての定型が出来上がってきた頃のテイストで、これが僕の一番好きなシーズンだから役者と特撮のアンサンブルが心地よかった。
1号の藤岡弘を中心に語られがちな初代ライダーだけれど、番組を高視聴率に押し上げたのは2号の佐々木剛さん。
彼が主役になってから、ストーリーに重苦しさがなくなり、子供人気を獲得したのだ。少年たちの兄貴分みたいな親しみやすさは、必要以上に重いものを背負っている質実剛健な1号にはない魅力だったのだと思う。
スタイルのいい藤岡弘。紫のジャケットとパンタロン。紫って何色あんねやろ。これはボルドーかしら。この頃の役者さんの芝居は時代劇が土台にあるから、低くてよく通る声で「一文字!」「本郷!」と呼びあうのをみれて幸せ。
敵怪人のザンジオーは、サンショウウオ怪人だけど火を吐く。火属性サラマンダーってわけ。ショッカーの科学力は空想生物さえも再現できる。ドクガンダーも好きなデザインだから、出番多くて嬉しい。変な鳴き声でお馴染みのエジプタスも登場。
ライダーと言えばバイク。山の中にある広い砂利道の広場で遠くに雪をかぶった白い峰がみえる。ロケ地は栃木か群馬とか関東周辺だろうけど、赤城山かな、筑波山かな、わかんねえ。
ショッカー戦闘員の乗ってるバイクは、悪役が使ってたら売れなくなると困るからカウルをはずしてあるんだと思ったら、普通にスズキの提供でございやした。